令和3年度第五回京都フォーラム共働研究会開催の件(令和3年8月28日(土)9:00~18:00 ZOOM活用)

各位

既にご案内の通り、8月28日(土)、令和3年度第五回京都フォーラム共働研究会を開催致します。皆様方には、ご多忙とは存じますが、意識や行動の変革への機会として、奮ってご参画下さい。

さる7月17日(土)開催の第四回京都フォーラム共働研究会は、既発表者による、個人、組織、共働態、地域、さらに、社会全体の公共幸福をめざす再発題と、新発表者による自己中、我執化の経営を超え、仏性の自覚と実践、仏仏縁起による自身の変革と、大乗化、梵我一元の道を目指す発題等により、参画者に大きな気付きと共感・共鳴の感動の輪が拡がりました。

冒頭、服部英二(財)京都フォーラム・至誠塾塾長による「あわいの智 そのⅡ――全人性の開示「場所論」・<間>の哲学」と題する基調講演で、先生は東洋思想について、大陸(中国)は「理」、半島(韓国)は「気」、列島(日本)は「場」が特徴といえると話され、また、世界哲学の変遷について、伊東俊太郎先生の「コーロロジー(場所論)再考」を参考に、古代・中世の哲学は存在論(Ontology)から、17世紀の科学革命の生みの親デカルトによる認識論(Epistemology)へ、その後、現代哲学が向かうべき方向として「場所論」(Chorology)が新たに提唱されて来ていると述べられました。

デカルトの認識論/主客二元論の思想により、「自然はイノチでなくモノとなった」こと、さらに2011年のオーギュスタン・ベルクトの対談で、「17・18世紀、人間は自然と離婚した」と先生が述べたことに対して、ベルクは「そのとき、人間は存在の半分を失った」と応え、二人の結論は、「人間の測る(思考する)価値が<存在>から<所有>に移り、現代文明は<所有>の文明、すなわち<力の文明>になった」こと、また、デカルト以来、カント・新カント派からフッサールに至るまで全ての哲学は、認識論となったことが“デカルトの大罪”であると論じられました。

また、「場所と人間」に関して、先生の恩師ガブリエル・マルセルは、「人間を場所(Milieu)から引き離すことできない。人間とは場所なのだ」と述べているが、それは、マルセルの先見の明であり、また、オーギュスタン・ベルクは、デカルトによってつくられた思想/主客対立の科学的思想を排除して、和辻哲郎の風土論、およびドイツのユクスキュルの提唱した「Umwelt(環世界)」という概念を取り入れて、「風土的存在としての人間」を著し、場所論としての「間の学」を取り入れ「風土学(Mésologie)」を創立し、他者・風土と相関して依存、相関存在する人間の全人性を開示し、2018年コスモス国際賞を受賞したことも報告されました。

2020年10月に先生が出版された「地球倫理への旅路」の中で、「間」の哲学について言及され、「自然との離婚」というのは、人類史の二万分の一の時間帯に起こった異常事態であり、我々は、この異常な文明を生きて来たが、本来の生き方、本来の哲学に戻り、人間性と大自然を同時に把握しなければいけない。先生は、それがホールネスの認識論、「間の哲学」だと言われ、伊東俊太郎先生、ベルク先生による場所論の確立により、万有相関の実存把握の道が開かれて来たと話されました。

最後に、「まこと」については、「利他の道のみならず森羅万象に呼応するもの」であり、「おかげさまで」という言葉も、利他の道のみならず森羅万象に呼応していると認識していること。さらに、ドイツの哲学者マルクス・ガブリエルが、最近「資本論ではダメ、資本主義ではいけない、また、今迄の生活に戻ってはいけない。コロナ以降、我々が求めるべきものは、“倫理資本主義”である」と言っており、「これは、私たちがずっと研鑽し活動し続けて来ていることと結びついているのではないか」と締めくくられ、参画者一同に、今後の活動への指針と大きな力を与えて頂きました。

続いて私から「不在の不在化、不覚の不覚化、そして始覚の経営道/日新する梵行」と題して話をさせて頂きました。

昨年5月8日からコロナ後の真の意味での経済復興、社会復興を目指して、毎日昼休みを活用して開始した「和弁(W/A・X)の会」で、ロイバスカーの『弁証法』から、“不在の不在化”の大事さを学び、次に『唯識』を学び、さらに、その後、井筒俊彦先生の『意識の形而上学『大乗起信論』の哲学』で、言語学者として、コトバに表される意識の深層と表層についてしっかりと掘り下げて頂きました。

井筒先生の説かれる「意識の形而上学 大乗起信論の哲学」の「言語アラヤ識」に触発されて深まったことの一つは、我々がコトバを聞いた時、コトバに表層意識と深層意識とがあり、この表層意識は、いわば「意識のピラミッド」として、自我意識や所有意識を基に「TO HAVE」として働き、分断/我執化/分別知化/所有化/競争化という分列病化の方向へ人類は進んでいることを深く学ばせて頂きました。

私が、今回、特に皆様と共有したいことは、我々は自分のいのちの根源の過去世と現在世を「無明」のままに生きており、それは、身体感覚の行いを通じて学ぶものであり、「無明」から「明」への「梵行」の道については、ほとんどの人が、いわゆる仏道を生きる自覚を持っていないため、根底に「人間観」に捉われ、頭では理解しているものの、実際の行動においては、仏の道になっておらず、経営においても、自身の「無明/無知」に気付かず経営を行い、当然のことながら日常についての懺悔も無く、ただ、分業のなかの分別知の枠組の中で、知識に拘泥し、結果的には分裂病的に流されて生きているに過ぎなく、現実は、なんの発展・変革も望めない生き方になっているということです。
そして、過去世、現在世の「無明」から「明」への真の「梵行」は、根底に「「仏道」/宇宙大の絶対レベルの大欲清浄道」を意識し、自らの無明/無知をしっかりと懺悔し、「明」/無分別智、諸仏の智慧の完成への道を日々新たに全ての行いを「梵我一元」、「万物一体」とする仏になる道の修行として行動することこそを、世々代々のまことの生き方をとして日々実践して行くことであります。

過日のアメリカのオールスター戦をご覧になった方も多いと思いますが、アメリカ国旗が球場いっぱいに広がり、大変迫力があると感じ、これを意識の上で、アメリカ全土を包み、さらには、地球全体を包むような風呂敷にもできるはずと考えますと、この「内包」という身体感覚で我々がその行動をとらえなおすと、どこまでも、内包的にかつ、無限に開き続けることが出来るとご理解いただけると思いますし、この先にある「宇宙大の和合」は当然として、「大欲清浄の内包の大風呂敷」へと空想をたくましくすることが出来るかと思います。

そして、その風呂敷包みを、あえて「神包み」として捉え、「内包」の風呂敷を包み上げた姿が「和合」であり、これが一人ひとりの「言語アラヤ識」=和合識として働き、それを和合の「意識の形而上学」としていわゆる和合の共働態レベルで生きていくことは、皆が心がけ一つでできることであり、自分の言葉をロゴスレベルのレトリックでなく、マジックレベルのポエムに向け、さらに、仏道を目指し「無明」の生き方を梵行を通して「明」に持っていくために、「梵我一元の行い・万物一体の行い」による“真の梵行”を重ねることは(経営者は自分では気づかずに梵行を行っている場合もありますが)、改めて、まさに日々の「全人的ひらけの修行」として不可欠であると確信している次第です。

そういう意味で、下から内から内包して「和合」を目指すこと、そして、「宇宙大の和合」を生きるという大欲清浄は、日々、全ての行いを、「梵我一元の行い・万物一体の行い」の梵行の積み重ねであることを、一人ひとりがしっかりと胸に刻み、ともに磨きあって参りたいと述べさせて頂きました。

続いて各発題者方の発表となり、

第一部 午前の部は、

石坂拓司 株式会社季節の詩 代表取締役から
「日に新たなり、又日に新たなり 梵行を重ね、内包し、合掌し、和合し、山川草木悉皆成仏すべてのいのちが輝く道を共に歩む」と題して。

芋谷清広 株式会社エディトデザイン 代表取締役から
「WEBを使うユーザーのライフスタイルをデザインする。 世々代々続くWEBサービス」と題して。

小坂洋平 株式会社ワールドサニー 代表取締役社長から
「果物で実現する幸せのサイクル作り」と題して。

第二部  午後の部は、
野村雅彦 NOMURA ART PLANT 代表から
「立志と大欲清浄」と題して。

和田紘子 大原社会保険労務士法人 代表から
「世界はひとつ 魂の「和」で大きく包む 京都から広がるダイナミックハーモニー文化の道」と題して。

今安志保 株式会社オーリーコーポレーション 代表取締役から
「表層意識レベル 理性の子育てと、深層意識レベル 感性の子育てが解き明かす 世々代々親子の和合が創り出す世界 ダイナミックハーモニーへの道」と題して。

小泉大輔 株式会社オーナーズブレイン 代表取締役から
「競争原理社会における我執化から大乗化へ存在の次元転換を生きる~内包へ向けより高次の全体最適化・宇宙大の和合を目指す世々代々の公共幸福社会への大転回」と題して。

いずれのご発題も、従来、幅広い分野で活動して来た中での、自分自身の自己中、我執化中心の生き方や、経営についてしっかりと懺悔し、仏性の自覚と実践による物物交換から仏仏縁起による大乗化への意識と存在の次元転換や、世々代々のまことを生きる経験価値の教材化による自身の変革と共に、家族、組織、地域、社会の公共幸福をめざす道筋について力強く発表して頂き、研究会への新しい風となり、参画者に共感と共鳴の輪がひろがりました。

第四回大会を記念すべき大会にして頂きました発表者の皆様、そして各発題に対し、更なる深耕化・高次化・拡充化を希求する真摯なコメント頂きました参画者の皆様に、衷心より厚く御礼申し上げます。
有難うございました。

8月28日の第五回大会も、引き続き、一人ひとりが、世々代々のまこと生きる経験価値や、一人ひとりの“アヤラ識”を基底として、 “現行薫種子”を生きる世々代々の公共化の道、世々代々の文化の道等、宇宙大の”和合の世界”をめざす実践道の道筋について、ともに学びを深めあい、ともに歩みを進めて参る会をめざしております。

皆様方の益々のご活躍・ご発展を祈念致します。

令和3年8月6日

(非営利)一般財団法人京都フォーラム
理事長  矢 﨑 勝 彦

追伸

8月28日(土)へのご出欠と、ご家族、会社関係者、お取引先の皆様方等、ともに新しい世界づくりを目指す幅広い方々のご参画者名を申込フォームにて8月24日(火)12時までにご回答願います。

令和3年度京都フォーラム共働研究会予定日(オンライン(ZOOM)にて開催)

第一回   3月27日(土)   9:00~18:00  (終了)
第二回   5月 8日(土)   9:00~18:00  (終了)
第三回   6月12日(土)   9:00~18:00  (終了)
第四回   7月17日(土)   9:00~18:00  (終了)
第五回   8月28日(土)   9:00~18:00
第六回  10月 2日(土)   9:00~18:00

年次大会  11月 3日(祝日)  9:00~18:00

第五回京都フォーラム申込フォーム(一般用)
https://forms.gle/zdZ2fkjGDMf4KCRg8